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寄附金について(第2回) ~寄附金の支出と隣接費用~

会社の税金を計算するうえでの頻出ポイントである寄附金について全3回で解説をしていますが、前回は寄附金の概要と寄附金の定義について見ていきました。第2回では寄附金の支出と隣接費用との関係について確認していきましょう。

 

寄附金の支出

経費の中には期末において未払の場合、費用として計上はするものの未払費用として貸借対照表に残っているものもあると思います。
なぜ、今回寄附金の“支出”について着目したかというと、寄附金は費用計上した滋養年度ではなく、支出した事業年度の寄附金として損金不算入額の計算を行うからです(なお、法人税法上は寄附金について“その支払がされるまでの間、なかったものとする”とされています)。

それではよくある以下の2点についての会計処理・税務調整について見ていきましょう。

  • 仮払寄附金
    上述の通り、寄附金は支出をした事業年度の寄附金として取り扱いますが、会計上は仮払計上という事で費用計上されていません。そのため、税務調整により一旦、費用として認識し、損金不算入額の計算を行います。
  • 未払寄附金又は手形の振り出しによる寄附金
    一方で会計上費用化しているものの、期末において未払となっているものや、手形を振り出したが決済されていない場合には、その事業年度においては“なかったものとする”ため、税務調整により費用から除く必要があります。

 

これを表にまとめると以下の通りになります。

 

仮払経理

未払経理

 

当期

会計処理

仮払金 100 / Cash 100

寄附金 100 / 未払金 100

税務調整

仮払寄附金認定損 100 (減・留)

未払寄附金否認 100 (加・留)

寄附金

寄附金に含める

寄附金に含めない

 

 

翌期

会計処理

寄附金 100 / 仮払金 100

未払金 100 / Cash 100

税務調整

前期仮払寄附金認容 100 (加・留)

前期未払寄附金認容 100 (減・留)

寄附金

寄附金に含めない

寄附金に含める

寄附金と隣接費用の区分

寄附金の判断で悩ましいのはその支出が寄附金なのかそれとも他の費用に該当するのかという点です。代表的なものを以下にまとめましたが特に(7)子会社等からの撤退費用や、(8)子会社等の再建費用についてはその判断が非常に難しいため、必ず顧問税理士に確認をすることをおすすめいたします。

 

(1)資産の取得費用等となるもの

①      固定資産の取得に関連して支出する地方公共団体に対する寄附等のうち実質的にその資産の代価を構成すべきもの→固定資産の取得価額

②      広告宣伝用資産の贈与・低額譲渡→繰延資産

③      借地権の設定の対価とされる特別の経済的利益の供与→借地権設定対価

(2)給与等になるもの

①      役員等に対する経済的利益の供与

②      出向者に対する給与の較差補填

③      役員等個人が負担すべき寄附金

(3)配当等になるもの

株主等に対して出資者たる地位に基づいて供与した一切の経済的利益

(4)広告宣伝費になるもの

①      プロ野球球団の親会社が球団の欠損金補填のために支出した金銭の額(S29個別通達(職業野球団に対して支出した広告宣伝費等)

②      被災者に対する自社製品等の提供

(5)貸倒損失とされるもの

法人の有する貸金等に係る債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その貸金等の弁済を受けることができないと認められる場合において、債務者に対して書面により明らかにされた債務免除額

(債務者に対する贈与と認められるものを除きます)

(6)交際費等とされるもの

①    事業に直接関係ある者への金品等の贈与

②    事業に直接関係ない者への金銭、物品等の贈与が、交際費とされるか寄附金とされるかは個々の実態により判定するが、金銭贈与は原則として寄附金とするものとし、次のようなものは交際費等に該当しないものとされています)。

・社会事業団体、政治団体に対する拠金      

・神社の祭礼等の寄贈金        

(7)子会社等からの撤退費用

経済的利益を手放す何らかの経済合理性がある場合には寄附金とはなりません。

 

<例示>

・法人が、子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い子会社等のために損失負担等をした場合に、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであるためやむを得ず損失負担するに至った等、相当な理由がある場合に、その損失負担等により供与する経済的利益→寄附金に該当しません。

・子会社等-子会社のほか、取引関係・人間関係・資金関係において事業関連性を有する法人を含みます

国税庁タックスアンサー No. 5280

(8)子会社等の再建費用

経済的利益を手放す何らかの経済合理性がある場合には寄附金とはなりません。

 

<例示>

法人が、その子会社等に無利息貸付等を行った場合に、その無利息貸付等が業績不振の子会社等の倒産を防止する為にやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等、相当な理由があると認められるときに、その無利息貸付等により供与する経済的利益の額→寄附金に該当しません。

<ポイント>

①    支援額が再建に必要な限度であること

②    整理・再建管理はなされていること(その後の子会社等の立ち直り状況に応じて支援額を見直すこととされているか)

③    支援者の範囲が相当であること

④    支援割合が合理的であること(出資状況・経営参加状況・融資状況etc.

国税庁タックスアンサー No. 5280

(9)取引先の災害復旧支援費用

災害を受けた取引先等に対し、復旧を支援することを目的とし、災害発生後相当期間内に、

(1)      売掛金等の債権の全部・一部の免除、

(2)      既に契約で定められている貸付金の利子などの減免、

(3)      無利息・低利による融資

をした場合の損失の額→寄附金に該当しません

<ポイント>

①    取引先の範囲 → 得意先、仕入先等のほか実質的な取引関係にある者を含みます

②    支出目的    → 復旧支援を目的として行われるものに限ります

③    災害発生後相当期間内  → 通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間内

④    書面をもって行うこと → 実務上の問題

★交際費についても、同旨の取扱いあります

 

 

終わりに

 

今回は寄附金の支出と隣接費用との区分について確認してきました。第1回で説明したように寄附金はいずれの名義をもって支出するかを問わないため、その費用が寄附金としての性質をもつものなのか、福利厚生費等の他の費用に該当するかの確認が必要になります。

 

次回はいよいよメインの寄附金の区分と損金限度額について見ていきたいと思います。

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