相続時精算課税贈与について

贈与には種類が2種類あるのを御存じでしょうか。

一般的によく知られているのが、暦年贈与(年110万円まで非課税)になります。

今回のコラムでは、もう一つの贈与である相続時精算課税贈与について見ていきたいと思います。

 

① 相続時精算課税制度における課税の仕組み

相続時精算課税贈与をした場合、相続時精算課税制度を選択した贈与者ごとに、生涯で累計2,500万円までの特別控除があり、それを超える部分については、以後一律20%の贈与税が課せられます。

本制度を選択していない父母や祖父母からの贈与については、暦年課税制度の贈与税が計算されます。

また、相続が発生した場合、過去に「相続時精算課税制度」を選択して贈与された財産については、全て相続財産に加算して相続税が計算されます。このとき、相続税の課税標準に足し戻される贈与財産の価額は「贈与時の価額」で固定されます。つまり、株価の低い時に贈与された自社株は、相続時までに株価がいくら上昇したとしても、贈与時の低い株価で相続税が課税されるということです。(ただし、贈与後に株価が下落したとしても、贈与時の高い株価で相続税が課税されます)。

そして、贈与時に支払った贈与税は、相続税から差し引かれます(贈与税の方が相続税より多く、差し引けない場合は還付されます)。

つまり、本制度により支払った贈与税は「相続税の前払い」と言えます。

 

② 適用を受けられる者

贈与者は60歳以上の父母または祖父母、受贈者は贈与者の直系卑属かつ20歳(令和4年(2022年)41日以後の贈与については18歳)以上の子どもまたは孫に限られます(いずれも贈与年の11日時点)

贈与者の養子となった者は、養子縁組をした日以後の贈与が本制度の対象となります。

 

③ 手続

相続時精算課税制度を選択しようとする受贈者は、贈与の翌年21日から315日までの間に納税地の所轄税務署長に「相続時精算課税選択届出書」を贈与税申告書に添付して提出する必要があります。

相続時精算課税制度は、贈与者と受贈者の組み合わせごとに選択することができます。ただし、1度選択したらその組み合わせにおける贈与については、贈与者の相続時まで本制度が継続して適用され、撤回することはできません(暦年課税制度の適用を受けることはできません)。

  

以上が相続時精算課税贈与の概要となりますが、この制度を選択する場合、以後は2度と暦年贈与は選択できない点について留意が必要です。

実際に適用を検討する際には、暦年贈与の110万円の非課税枠を使って株式を後継者に移転した方がいいのか、或いは株価が低いうちに相続時精算課税贈与で一括贈与し株価を固定した方がいいのか等、贈与をする前には将来予測を踏まえて慎重なシミュレーションを行い決定する必要があります。

相続時精算課税贈与は使い勝手がいい移転手法のため、是非ご検討ください。

 

このように税金の世界では顧問税理士の実力一つで納付税額が如何様にも変わってしまいます。

 

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